役人にお食事券?(汚職事件!)そりゃ農村怒る--中国内陸大開発

三峡ダム建設(1992年開始、2009年完工)に代表されるダム建設や、それに伴う水力発電所の建設など現在、沢山の開発が内陸地域に誘致されている。
今回起きている現地農村住民による暴動の主原因は環境破壊に対するというものより、役人たちが上前をハネて支払うべき金を渡さない、土地接収を巡ってタダ同然の金額でしか買い取りしないなどの問題、都市部との経済格差問題という金や処遇をめぐるトラブルである。
こんなことが結構内陸では多いらしく、抗議行動が各地で頻発しているそうだ。中央政府も地元の役人を更迭するなど躍起になっているが、もうこうなったら焼け石に水でしかない。
そもそも、文化大革命なんてやった毛沢東が原因。文化大革命のおかげで農村は飢えに苦しむ毎日を送っていたのだが、表向きは『現在、中国は大変に社会主義政策に大成功していますよー』なんてやってたから、その傷が致命傷となってしまった。
文化大革命を否定し、資本主義的社会主義を提唱した訒小平もあまりの問題の根の深さに悲嘆し、「このままでは中国は潰れてしまう。発展途上国の仲間入りするなどもってのほか。もういいや、沿海部だけでも先に豊にしちまおうじゃねぇか。」などと問題先送り行動を取ったがために、農村問題は事実上、棚上げ状態となり、さらに問題先送りとなり、どーにもこーにも取り返しのつかないこととなっちゃったわけである。
あんまりどうしようもないので、急ピッチで西部大開発を行おうとしたところ、出て来るべくして無理が表面化してきたというのが実情だろうとわたしは個人的に考えている。
もうこうなったら、20年でも30年でも掛けて根強くこの問題と付き合うしかないのではないか。このまま押し通してしまってはいつ、中国国内で政治的分断が起こっても、おかしくないだろう。

中国の西部地域にある重慶市四川省雲南省など十二の省・直轄市自治区の開発計画。沿海部に比べて遅れた同地域の発展加速が狙い。2001-2005年の経済発展方針を定めた第十次五ヵ年計画に盛り込まれた。資金を重点投入し道路、電力などインフラ整備を進めている。
西部大開発の基礎には80年代に訒小平が提起した「2つの大局」という考え方があり、国全体を一気に富ませるのは無理があるから、沿海部を先に豊かにして、その後その富を内陸部にも行き渡らせようという目論見であった。
しかし、そんなに物事が『自然の成り行き』的にうまくいくことはなく、富は集中すべきところに集中し、内陸部と沿海部の富の格差は今も歴然たるものがある。

貧困と出稼ぎ―中国「西部大開発」の課題

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中国の世紀―鍵にぎる三峡ダムと西部大開発

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