ドイツでヒトラー映画--ドイツ国民は試されている--

ナチスドイツの指導者ヒトラーを描いた映画がドイツで公開されている。なにせ、ドイツではハーケンクロイツ(カギ十字)を掲げたり、公の場でナチス式敬礼をすることは犯罪で、ヒトラーの著書「わが闘争」の出版禁止になっている国なのにである。
しかもあろうことか、この映画ではヒトラーが「血の通った」人間として扱われていることにドイツ国内外で大きな議論を呼んでいるらしい。。。(本件については2005/01/06(木曜日)の産経新聞日刊しか取り上げていないから、特に日本では関心を持たれていないのだろう。。。)この映画「デア・ウンターガング」に対する独世論調査機関のアンケート結果より、「ドイツ国民の約69%がこの映画を肯定的に捉えている」のだという。「昔のことはよくわかんないっすよ」的無関心人間が増えているのか、それともただ単に「過去に起こった、今ではほころびかけつつある、過去の陰惨な記憶」として忘れ掛けられているだけなのか?
過去の陰惨な記憶はきちんと風化しないように留めつつ、過去の過ちを繰り返さないように冷静に問題の本質を見られる視点を常にはぐくんでいきたいと思う。この映画で、ただしい歴史観が育まれるとは到底思えませんが。ネオナチが再び台頭しないことを心よりお祈り申し上げます。

    • 映画について--

Bruno Ganz氏がヒトラーに扮しており、絶望の最中にありながら、周囲の者たちへ心優しい気遣いをするモンスターとは程遠い姿で描かれている。ブルーノガンツ氏自身は「春にして君を想う」、「永遠と一日」、「時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース」などに出演しているらしいので、興味のある方はどうぞ。

わが闘争(上)―民族主義的世界観(角川文庫)
わが闘争(下)―国家社会主義運動(角川文庫)

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